特集 外傷
5.外傷と呼吸管理
古川 力丸
1
,
讃井 將満
2
Rikimaru KOGAWA
1
,
Masamitsu SANUI
2
1日本大学 救急医学系救急集中治療医学分野
2東京慈恵会医科大学 麻酔科 集中治療部
pp.497-510
発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100319
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エアバッグの装備やシートベルト着用義務化,飲酒運転に対する取り締まり強化などが実を結び,交通外傷患者,重症患者の発生件数は近年減少傾向にある1)。また,受傷前に肺に問題のない健常者の場合には肺傷害を合併しても比較的予後は良好であることが多い2)。しかし,高齢者や慢性疾患の既往歴のある患者の場合,身体予備能の低下に加え,外傷自体による侵襲や大量輸液・輸血,各種の投薬などの負荷が加わるため,重症化する可能性は高い3)。外傷における呼吸管理の基本は,外傷の特殊性を理解し,さらなる肺傷害の要因を減らし,全身への影響を小さくするよう努力することである。人工呼吸管理による肺や全身への傷害をできるかぎり小さくするという大前提は敗血症などの他の疾患と変わりない。本稿ではこのような観点から外傷における呼吸管理を概観する。
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