特集 ARDS
8.ARDSに対する非人工呼吸療法,薬物療法を中心に:過去,現在,未来―(3)ECMO,PCPSなどの体外循環
讃井 將満
1
Masamitsu SANUI
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター 麻酔科・集中治療部
pp.91-95
発行日 2009年1月1日
Published Date 2009/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100168
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体外式膜型人工肺extracorporeal membrane oxygenation(ECMO)は,体外循環によって血液を酸素化し二酸化炭素を除去し,動脈あるいは静脈を介して返血することにより組織の酸素化を維持する装置である。ECMOは,血液の酸素化を担う臓器である肺が機能不全に陥り,全身への適切な酸素供給が維持できない場合に,その機能を肩代わりするとともに,人工呼吸関連肺損傷ventilator induced lung injury(VILI)の進展を防ぐ,すなわち“肺を休ませる”目的で用いられる。現在,ECMOはARDSの標準的治療として広く用いられているとは言い難い。しかし,1970年代にECMOが臨床に導入されて以来,救命のための緊急避難的な治療選択肢の1つとして,小さいが確実な位置を占めてきた。その未来が必ずしも悲観的ではないことを示すような研究も行われた1)。本稿ではECMOの概念と,歴史的にどのような研究がなされたきたか,現在のARDSにおける適応,その実施上の要点,将来の可能性について述べる。
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