特集 ICUで遭遇する血液疾患
Part 1 ICUでのコモンプロブレムの鑑別診断と対処
2.輸血管理
2-5.急性輸血副作用への対応—早期診断方法と治療
下薗 崇宏
1
,
讃井 將満
2
Takahiro SHIMOZONO
1
,
Masamitsu SANUI
2
1神戸市立医療センター中央市民病院 麻酔科・集中治療部
2自治医科大学附属さいたま医療センター 麻酔・集中治療部
pp.303-315
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200162
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輸血に伴う有害事象(輸血副作用)には,自然経過で改善する軽症なものから,放置すると死亡に至る重症なものまでさまざまな病態が含まれ,その多くは発熱や悪寒といった非特異的症状で発症する。そのため,初期症状からその重症度を鑑別することは困難である。さらには,そもそも輸血を要する患者は,同様の非特異的症状を呈する背景疾患を有していることが多いため,輸血副作用発症直後には,その症状が輸血副作用によるものであるかどうかを判断すること自体が困難である。
本稿では,輸血副作用のなかでも重篤な転帰をきたし得る急性輸血副作用を中心に,病態について簡単な解説をしたうえで,その早期診断方法と対応策について論じてみたい。
なお,遅発性輸血副作用〔肝炎ウイルス,ヒト免疫不全ウイルスなどの輸血感染症,移植片対宿主病graft-versus-host disease(GVHD),遅発性溶血性輸血副作用など〕や大量輸血に伴う合併症(クエン酸中毒,低体温など)については残念ながら誌面の余裕がなく,今回は取り上げられないことをご了承いただきたい。
Summary
●輸血は救命的だが,致死的副作用がある。
●急性輸血副作用は疑うことが大切。
●24時間以内の発熱,血圧低下,呼吸不全,皮疹は急性輸血副作用を疑う。
●急性輸血副作用を疑う全例で“輸血副作用ワークアップ”を!
●輸血部と血液センターへの報告を忘れずに。
●輸血の適正使用に勝るものなし!
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