特集 急性膵炎
4.急性膵炎における栄養療法―我が国の経腸栄養療法の現状と展望
竹山 宜典
1
Yoshifumi TAKEYAMA
1
1近畿大学医学部 外科
pp.629-635
発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100091
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急性膵炎はその重症度によって大きく予後の異なる疾患であり,軽症例では数日の絶食により跡形なく軽快するが,重症例では高度の脱水と臓器虚血,さらに感染を併発し,良性疾患でありながら死亡率が20%にも達する。そのために,本疾患の治療に際しては,早期の重症度判定が極めて重要であり,重症度に応じたメリハリの利いた治療法を選択,実施することが肝要である。重症急性膵炎の治療成績向上を妨げている原因として,発症早期の臓器不全と発症後期の感染性合併症がある。なかでも,後期の感染合併による敗血症は重症膵炎治療における最大の課題である。その対策として,抗菌薬の予防投与や蛋白分解酵素阻害薬,抗菌薬局所動注療法と並んで,感染源である腸管および腸内環境に対する方策として経腸栄養enteral nutrition(EN)が有効とされている。本稿では,急性膵炎におけるENの有効性について,現時点での知見をまとめるとともに,最近多く利用されている経腸栄養剤の特徴と,全国調査結果からみた我が国の重症急性膵炎におけるENの現状と今後の展望について述べる。
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