急性膵炎-診療ガイドラインの改訂を受けて
急性膵炎の栄養療法
横江 正道
1
1名古屋第二赤十字病院 総合内科
キーワード:
経腸栄養
,
膵炎
,
EBM
,
アルゴリズム
,
診療ガイドライン
,
治療成績
,
中心静脈栄養
,
経腸栄養剤
Keyword:
Algorithms
,
Enteral Nutrition
,
Parenteral Nutrition, Total
,
Pancreatitis
,
Practice Guidelines as Topic
,
Treatment Outcome
,
Evidence-Based Medicine
pp.541-546
発行日 2016年4月20日
Published Date 2016/4/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2016251538
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急性膵炎はよく遭遇する疾患ではあるが,合併症を伴うと予後不良となる疾患としても知られている.とくに重症急性膵炎は予後が不良で集中治療を施さないかぎり改善が認められない場合もある.絶食管理とすることが基本とされてきたが,長期間の絶食管理では栄養管理が不十分であるという点から,高カロリー輸液を用いた経静脈栄養管理を行う時代が訪れた.しかし,腸管を使用しない栄養方法であるためbacterial translocationによる感染の問題が明らかになった.その後も,経腸栄養管理での感染症発生率などの低下といった報告が複数なされるようになり,しかも早期経腸栄養が重症急性膵炎の予後改善に寄与するとシステマティックレビューなどの高いレベルのエビデンスとして報告された.改訂時期を迎えた,本邦の「急性膵炎診療ガイドライン」もこうした新たな科学的根拠をもとに,栄養療法に関しても改訂を行った.「急性膵炎診療ガイドライン2015」では,重症例であっても完全静脈栄養は可能なかぎり回避すべきであると記載され,経静脈栄養管理よりも経腸栄養を進めることを推奨した.また,経腸栄養は重症急性膵炎症例においては,栄養補給経路としての意味以上に感染予防策としての意義が重要であると記載し,早期経腸栄養による合併症発生率の低下,生存率の向上をもたらすことを根拠に,早期経腸栄養を推奨し,遅くとも48時間以内に開始することが望ましいとまとめている.
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