特集 急性膵炎
5.蛋白分解酵素阻害薬に関するpro/con―(1)pro:急性膵炎の発症を防ぎ,予後を改善するエビデンスのある薬物である
廣田 衛久
1
Morihisa HIROTA
1
1東北大学医学部 消化器内科
pp.637-643
発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100092
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蛋白分解酵素阻害薬による急性膵炎の治療効果について,今のところコンセンサスは得られていない。それは,初期に用いられたアプロチニンの薬効や副作用に問題があり,臨床試験でよい結果を残せなかったこと,またその後に用いられているガベキサートも,投与量や投与時間の設定が不適切な条件で臨床試験が行われたことが,主な原因である。
最近,蛋白分解酵素阻害薬によるERCP*1後膵炎の予防効果に関して,エビデンスレベルの高い報告が相次いでいる。さらに,我が国で開発された重症急性膵炎に対する蛋白分解酵素阻害薬・抗菌薬膵局所動注療法(動注療法)が無作為化比較試験(RCT)にて,重症急性膵炎患者の致命率を有意に改善したことが報告され,薬の効果を十分に発揮できる投与量と使用法により,急性膵炎の予防および治療に寄与することが明らかとなってきた。
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