徹底分析シリーズ 高齢者の大腿骨頸部・転子部骨折
フォンダパリヌクス時代の術後鎮痛法
石田 亮介
1
,
佐倉 伸一
2
Ryosuke ISHIDA
1
,
Shinichi SAKURA
2
1島根大学医学部附属病院 麻酔科
2島根大学医学部附属病院 手術部
pp.1188-1191
発行日 2008年12月1日
Published Date 2008/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100540
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フォンダパリヌクスは,術後静脈血栓塞栓症予防の適応を持つ血液凝固因子Xaの特異的な阻害薬であり,まず整形外科領域から使用が開始された。これまで多くの手術の術後鎮痛法として持続硬膜外ブロックが用いられてきたが,硬膜外血腫を防ぐ目的からカテーテルの挿入・抜去とフォンダパリヌクス投与の間には一定の時間をおくことが推奨されている1)。
実際には,術後約24時間程度で止血を確認後に初回の投与が行われることが多く,硬膜外カテーテルを留置した場合,最低でも初回投与の2時間前までに抜去するか,あるいは留置したまま一定期間の投与を行う必要がある。前者では鎮痛期間が短く,後者は患者の離床後,カテーテルが自然抜去し硬膜外腔に出血する危険性があるため好ましくない。
そこで,近年普及の著しい超音波ガイド下末梢神経ブロックの登場である。抗凝固療法中の末梢神経ブロックが安全であるというコンセンサスはいまだないものの,超音波ガイドにより血管の穿刺を避けることができる点と,体表面のブロックでは出血が起きたとしても圧迫止血を試みることができる点が非常に優れている。超音波ガイド下末梢神経ブロックは麻酔科医の大きな武器となるはずだ。
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