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第1土曜特集 成人先天性心疾患――各国のガイドラインに学ぶ
重症(複雑)先天性心疾患の診断・治療
フォンタン循環:フォンタン手術後に確立される循環動態
Overview of the Fontan circulation
森 有希
1
,
大内 秀雄
1
Aki MORI
1
,
Hideo OHUCHI
1
1国立循環器病研究センター成人先天性心疾患センター医療安全管理室
キーワード:
フォンタン
,
単心室
,
中心静脈圧
Keyword:
フォンタン
,
単心室
,
中心静脈圧
pp.418-423
発行日 2025年5月3日
Published Date 2025/5/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293050418
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フォンタン手術は,先天性心疾患のうち二心室での循環動態確立が困難な場合に,単心室血行動態を確立するために実施される手術である.術式の改良を含む医学の進歩により患者の術後30年生存率は85%まで改善し,患者数は急増している.フォンタン手術後の循環動態(フォンタン循環)は高い中心静脈圧,軽度の低酸素,低心拍出を特色とするが,不整脈などの心事故を除けば,急激な変化は起こしにくく,フォンタン循環に順応できた患者の多くは自覚症状がなく,安定した生活の質を手に入れることができる.その一方で,フォンタン循環による全身臓器への影響は潜在的に進行し,遠隔期には生活の質の急激な低下を招く.フォンタン術後28年間で不整脈を経験しない患者はわずか2割強で,40歳の患者の死亡率は一般人口の75歳の死亡率に相当するとの報告もある.フォンタン循環への洞察を深め,疾患に対する社会認知度向上を図り,診療体制を確立することが急務である.

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