徹底分析シリーズ 高齢者の大腿骨頸部・転子部骨折
麻酔法は予後に影響するか?―全身麻酔vs区域麻酔vs末梢神経ブロック
紙谷 義孝
1
,
後藤 隆久
1
Yoshinori KAMIYA
1
,
Takahisa GOTO
1
1横浜市立大学大学院医学研究科 生体制御・麻酔科学
pp.1182-1187
発行日 2008年12月1日
Published Date 2008/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100539
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従来,大腿骨頸部・転子部骨折の手術に対する麻酔といえば,脊髄くも膜下麻酔または硬膜外麻酔+脊髄くも膜下麻酔(いわゆる硬脊麻),心血管系に合併症があり,急激な血圧の変動をどうしても避けなければならない症例には硬膜外麻酔単独,で対応していた麻酔科医が大半だろう。おそらく,「高齢者には局所麻酔のほうが低侵襲である」,「高齢者に全身麻酔をかけると術後合併症で苦労する」と多くの麻酔科医は考え,そのように対処してきたのではないではないだろうか。
しかし,全身麻酔の薬物が“キレ”のいいものに大きく変わった現在,麻酔法によって大腿骨頸部・転子部骨折患者の予後がどれほど影響を受けるのかを考えることは,周術期の患者管理を考えるうえでも大切である。本稿では,evidence-based medicine(EBM)の観点から,大腿骨頸部・転子部骨折の手術に対する麻酔法を考える。
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