症例検討 眼科手術の麻酔
巻頭言
鈴木 利保
1
1東海大学医学部医学科外科学系診療部 麻酔科
pp.1211
発行日 2008年12月1日
Published Date 2008/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100544
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- 文献概要
筆者は麻酔科に入局する前に,眼科医を目指していた時期がある。眼科を志望した理由は,小児の未熟児網膜症の病態や治療,神経眼科学の奥深さに大いに興味を持ったからである。また,白内障の手術後,視機能が回復した多くの老人達の嬉しそうな顔が今でも忘れられない。五感の中で「見える」ことは,最も尊いことであるという考えは,今も変わっていない。
さて,眼科手術は,局所麻酔で行うことが多く,麻酔科医が患者管理を行うことは比較的少ない。しかし,近年患者年齢が高齢化したことに伴い,当院においても全身麻酔や局所麻酔の鎮静の必要性が増加しつつある。先日数人の麻酔科研修医に眼科麻酔のイメージを尋ねたところ,部屋が暗くて眠くなる,手術が単調で,バイタルサインが安定していて面白くない,などの意見が多かった。しかし,眼科麻酔の対象は小児から高齢者までと幅広く,特に手術術式に精密さが要求されるなどの,眼科麻酔ならではの特殊性があることも事実である。
そこで本企画では,総論として北里大学医学部眼科学教室の清水公也先生に「麻酔科医に知ってもらいたい眼科手術のポイント」を眼科医の立場から論じていただいた後,6人の気鋭の麻酔科医に合併症を有した眼科麻酔の6症例を提示していただき,誌上で議論を進めていただいた。「診察の進め方」や「その場の乗り切り方」など,教科書には書いていない内容が満載である。読者にとってこの症例検討が明日の臨床のヒントになれば幸いである。
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