特集 体験としての看護—語り合うなかでの確かめ
体験を語り合うなかから その2
梅田 八重子
1
,
外口 玉子
2
1国立武蔵療養所
2東京都精神医学総合研究所医療看護研究室
pp.475-487
発行日 1977年5月1日
Published Date 1977/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918144
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
退院したいといって病室へ入るのを拒み続けていたCさんの傍らにしゃがんで下から見上げるようにして話しかけたら応じてくれた場面
梅田 Cさんという若い患者さんとのかかわりは,印象深かったですね.何か不思議な感じをもたされたんです,Cさんは退院したくて,病院から出してくれとずっとわめいていましてね.一昼夜オーバーを着たままでドアの所に立ってて,どうしても自分の部屋に行こうとしなかったんです.
その時に私,ちょうどその人と同じ19歳ぐらいの息子がいるもので,ちょっと考えちゃいまして…….それで寄って行きまして,しゃがみ込むような形で,下から見上げるようにして‘わたしもあなたと同じような子供があるのよ’って話したんです.Cさんは椅子に腰かけてたんですがね.そうしたらそれまでわめいていたのに,チラッと目を向けたんですね.それで‘あなたはここにいるのいやなのね’と言ったら‘そうなんだ’と言うんです.それから‘看護婦さんの子供はいい子なんでしょう?ぼくみたいじゃないんでしょう’って言ったんですね.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.