連載 職員の安心を支える病院デカ・18
恫喝クレーマー対応奮戦記
工藤 孝
1
1青森県立中央病院
pp.501
発行日 2013年6月10日
Published Date 2013/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102797
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先制攻撃
A男は,数年前から医師・看護師に対して自己中心的な要求を繰り返している人物である。彼は要求が通らないと異常な興奮を見せ,職員に対して大声をあげて詰め寄るといった心理的圧迫感を与えるなど,業務遂行に大きな支障を及ぼしてきた。入職したばかりの私はまだA男の顔を知らなかった。
私が初めてA男と対面したのは,日課の院内巡回中のことである。ホール全体に怒号が響き渡った。「何をつけてるんだ! 大変なことになるぞ!」。左腕に「院内保安対策官」の腕章をつけている私は,反射的に振り向いた。すると,男がエスカレーター下り口で仁王立ちし,私を指差していた。ホールを見渡すと来院者は一様に静まり返り,エスカレーターに乗ったばかりの女性は引き返そうと慌てふためいていた。
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