特別記事
質的研究論文のクリティークのためのサブストラクション
北 素子
1
,
谷津 裕子
2
1東京医療保健大学医療保健学部看護学科
2日本赤十字看護大学
キーワード:
質的研究
,
クリティーク
,
サブストラクション
,
論理的一貫性
Keyword:
質的研究
,
クリティーク
,
サブストラクション
,
論理的一貫性
pp.131-141
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100133
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はじめに
質的研究の臨床への活用に向けて
昨今,質的研究方法を用いた看護研究論文の増加が著しい。筆者らが開催する「看護学領域の質的研究に関する研究会(NQR)」のなかで,質的研究の成果を看護実践に還元していくためには何が必要かということについて議論を重ねてきた。そのなかで得られた1つの答えは,"研究論文の論理的一貫性"を確保することが要であろうということであった。
臨床で質的研究が活用されるためには,看護の実践者がそこで記述された結果を「なるほど」と思えること,実践者が自分たちの経験と照らし合わせ,そこで記述された結果が自分たちの考える現実をいい当てていると感じられることが肝要である。質的研究から得られた成果の「現実への当てはまり感」を支えるもの,それを筆者らは「論理的一貫性」,すなわち研究論文のなかで記載されているさまざまな情報が論理的一貫性を保っていることであると考えた。
本稿では,質的研究論文の論理的一貫性をクリティークする1つのツールとして,質的研究論文のサブストラクション・ワークシートを提案する。そして,その妥当性や活用可能性について質的研究に関心をもつ読者からご意見をいただき,筆者らのアイデアを精錬していきたいと思う。
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