焦点 国家試験問題の作成能力とブラッシュアップ能力の向上
試験問題ブラッシュアップの例
川本 利恵子
1
,
村瀬 千春
2
,
金山 正子
3
,
大塚 邦子
4
,
小田 日出子
5
,
吉嶺 敏子
6
,
二塚 信
7
,
田中 美加
3
1九州大学大学院医学研究院保健学部門看護学専攻
2産業医科大学産業保健学部第1看護学
3福岡大学医学部看護学科
4日本赤十字九州国際看護大学看護学部看護学科
5西南女学院大学保健福祉学部看護学科
6産業医科大学産業保健学部第3看護学
7九州看護福祉大学
キーワード:
作成マニュアル
,
チェックリスト
,
ブラッシュアップシート
Keyword:
作成マニュアル
,
チェックリスト
,
ブラッシュアップシート
pp.119-126
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100132
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はじめに
試験問題を作成した後には,その吟味・検討といういわゆるブラッシュアップが不可欠である。保健師助産師看護師国家試験(以下,国家試験)には,不適切問題の議論がつきものであるが,不適切問題とされたものもしかるべき手続きをふんで作成され,出題者の企図が何かしらあったはずである。それを考慮すれば,「不適切」と断じるのではなく,何を問い,何を評価したいかを多面的に検討し改良すれば,良問に転じる可能性も否定できない(試験問題プール制度の発想もこれにつながるものと考える)。
また,ブラッシュアップされた試験問題の安定性を示した例として,過去に出題された国家試験を修正した試験問題6問が,平均正解率79.9%,平均識別指数0.20と安定しており,質の高い試験問題が作成できる可能性が示唆された,とも報告されている(朝倉ら,2005)。試験の実施後に試験問題のブラッシュアップを行なうことは企業による模擬試験ではいわば常識であり,試験問題をある程度の数の母集団を対象に“使ってみた”結果の検討も,ブラッシュアップの1つの手段である。
本稿では,試験問題の事後評価としてのブラッシュアップではなく,作成時に手を尽くせる(はずの)ブラッシュアップツールとして我々が「試験問題作成の視点」(本号,17頁)とともに開発した「ブラッシュアップシート」を紹介する。効率的なブラッシュアップの一助となれば幸いである。
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