教育研究レポート
看護学総論指導の方法と応用—Ⅱ.教授内容と教授方法—講義・演習・学内実習
波多野 梗子
1
,
小野寺 杜紀
2
1日本女子体育大学
2神奈川県立衛生短期大学
pp.487-495
発行日 1976年8月25日
Published Date 1976/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907014
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Ⅰ.考え方の基礎
まず看護学総論で何を目的に教えるかをはっきりさせて,そのための教材や方法を考えていかなければならない(なぜこのようなあたりまえのことを言うかというと,看護では,臨床実習といった既存の教育方法があって,何を目的に臨床実習を行うのか,その目的を達成するためには,臨床実習をいつどのように行ったらよいかが問題にならないまま,臨床実習が行われる場合がないわけではないからである).前回に述べたように,総論で何を目的に教えるかは,実は,看護学とは何か,どのような卒業生(看護婦)を養成するか,ということと本質的に深いかかわりをもっている.職業教育(狭い技能教育という意味ではない)である看護基礎教育として,学生に学習させなければならないことは,ひとつは,人間性や,その人間に対する看護の意味—どのように看護すればよいか—を理解させること,もうひとつは,それを通じて個々別々の対象に対する適切な看護が行えるようにさせることであろう.これを別の角度からみると,看護学を中心とする基礎看護教育では,学生に,人間を理解するための知的能力と,実践活動を円滑にすすめるための技能と,人間自身が人間を看護するということから,看護を行う側のもつ成績や態度,価値観が対象に影響を与えることを前提にした望ましい情意(態度)を身につけさせていることが目的である.このような3つの能力が統合されてはじめて,適切な看護が行えることになろう.
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