教育研究レポート
看護学総論指導の方法と応用—Ⅲ.指導方法—臨床実習・学外実習
波多野 梗子
1
,
小野寺 杜紀
2
1日本女子体育大学
2神奈川県立衛生短期大学
pp.563-569
発行日 1976年9月25日
Published Date 1976/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907024
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ.考え方の基礎
前回および前々回に述べたように,看護基礎教育では,看護学総論と各論が一貫して教えられねばならない.それとともに,講義と演習・実習という指導方法を通じて,看護に対する高度な知的・技能的・情意的能力を養い,しかもそれらを統合した形で人間全体に対する看護ができるようにしなければならない.その意味で,看護基礎教育の中で実習,特に臨床実習はきわめて重要な役割を果たしている.
学内での講義や演習は看護婦としてもつべき能力のそれぞれを段階的に学習できるという長所があるが,それらがばらばらに行われるのが看護ではない.統一されたものとして,具体的な対象に対して能力が発揮されねばならない.視聴覚教材の利用により,学内で学習できる範囲が広がったとはいえ,学内での学習は‘モデル’としての対象についてでしかありえない.現実の人間はたえず,こちらからの働きかけに対して反応を示す.その反応をみながら働きかけを変化させていくのが優れた看護である.それ故に,‘モデル’でなく,そうした‘やりとりする存在’としての人間に直接ふれることによって看護の訓練をするのが,いわゆる臨床実習である.
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.