授業研究
体験学習を中心としたコミュニケーション技術の授業展開
松本 孚
1
1順天堂医療短期大学
pp.290-297
発行日 1991年5月25日
Published Date 1991/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900209
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はじめに
コミュニケーションは,看護実践の基盤となる相互関係を,成立,発達させるための技術であると言われる.しかし,人間の相互関係と言っても,浅いものから深いものまであろう.現代は,パソコンの普及,塾の乱立,遊び場の減少などによって,子供は小さい時から生の人間と相互関係を深めにくくなっているようである.そのせいか,私の囲りでも講義中,学生からの質問がほとんど無くなってきたり,ゼミなどの小集団で学生同士の伯仲した議論にお目にかかれなくなってきた.授業中の私語はむしろ増えているようであるが.
こうした傾向のある看護学生に対し,どのようにして,またどのレベルで,コミュニケーションを学ばせることができるのであろうか.これは,看護教育の中でコミュニケーションの授業に携わる者の,共通する悩みなのかもしれない.講義で相互関係の成立と発展について学び,頭で理解することは可能であろう.しかし,それが実践の中で生きるか否かは,個々の学生の実体験の質が大きくものをいうと考えられる.
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