特別講義
看護教育における英語授業を考える―コミュニケーションを学ぶための授業の展開を
大島 幸治
1,2
1神奈川県衛生看護専門学校
2実践女子短期大学
pp.66-71
発行日 1996年1月25日
Published Date 1996/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901305
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はじめに
看護教育における外国語教育は,現時点では,残念ながら看護教育の体系の中に有機的に位置付けられているとは言い難い.一般的に言って,英語という科目は,看護専門科目との体系的な関連をもたず,高等学校の延長のような授業であるという印象をもたれているようだ.学生も,臨床現場に出てからの必要性は十分すぎるほど認識しているが,専門科目の学習課題に追いまくられて,資格試験の科目にない英語の授業に力を入れる余裕などないのが現状である.
この状況で問題なのは,外国語科目がもっているきわめて今日的な意義に対する認識が,学生,教師の両方に希薄だということである.「英語が自由に話せたら…」といった気持ちは,学生は誰でももっている.しかし,学生が希望する「英会話」なる発想を考えてみると,われわれにとって「日本語会話」なる観念が実体の想像しがたい珍妙なものでしかないように,状況を設定して“典型的会話”なるものを覚えてみても実用性には疑問が残る.口真似をして覚えても,それでは医療現場でのコミュニケーションの役には立たない.むしろ,なぜ今,看護学生が英語を学習する必要があるのかをこそ問わねばならない.
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