連載 “医療安全力”を育むリスクアセスメントトレーニング・Training 16
“状況判断力”を育むシミュレーショントレーニングの提案
斉藤 奈緒美
1
,
石川 雅彦
1
1公益社団法人地域医療振興協会地域医療安全推進センター
pp.818-823
発行日 2015年8月25日
Published Date 2015/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200309
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
医療安全教育の現状と課題
臨床および看護基礎教育における医療安全教育の現状と課題については,石川が,以前の勤務施設において「医療安全:看護基礎教育・臨床ジョイント研修」を2007(平成19)年,2008(平成20)年の2年にわたり実施し,本誌などに掲載している1)2)。「医療安全:看護基礎教育・臨床ジョイント研修」は,看護基礎教育・臨床における医療安全教育担当者が双方の現状と課題を理解し歩みよることで,必要な取り組みの提唱と協力体制整備を目的として,医療安全教育担当者で担当経験3年以上の看護教員・医療機関の看護師,各30名の定員で実施した。
参加者に研修前・研修終了時に実施したアンケート調査結果によると,医療安全教育の課題として,基礎教育側から「評価が難しい」「医療安全教育の担当経験が少ない」「臨床・基礎教育間での情報交換が少ない」「学生や新人職員など臨床経験の少ない対象への医療安全教育が難しい」「具体的な医療安全トレーニングに関する研修がない」などが挙げられていた1)。臨床側では「評価が難しい」「臨床・基礎教育間での情報交換が少ない」などの同様の内容に加えて,「医療安全教育における成果がみえない」「どのような教育・研修内容が効果的なのかわからない」「必要な時間の確保が困難である」「対象のレベルに応じた医療安全教育の計画を立案するのが難しい」なども挙げられていた2)。双方から,今後必要な取り組みとして,看護基礎教育と臨床のジョイントがあげられ,研修をきっかけとして取り組みを開始した施設もあると報告を受けている。
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.