連載 “医療安全力”を育むリスクアセスメントトレーニング・Training 32【最終回】
“状況判断に基づく対応力”で事例発生を防止する!─事例発生にかかわる課題の見える化と未然防止対策
斉藤 奈緒美
1
,
石川 雅彦
1
1公益社団法人地域医療振興協会地域医療安全推進センター
pp.1034-1038
発行日 2016年12月25日
Published Date 2016/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200656
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看護学生がかかわる“主体的な確認”不足による事例
臨床経験が少なく知識も十分とはいえない看護学生(以下,学生)や新人看護師などが関与する可能性のあるインシデント・アクシデント事例の発生には,“状況判断に基づく対応力”の発揮が影響することも少なくない。特に,学生が臨地実習(以下,実習)で遭遇する可能性のある事例は,療養上の世話にかかわるものが多く,学生がリスクの可能性に気づきにくいことも考えられる。
日本医療機能評価機構 医療事故収集等事業では,「職種経験1年未満の看護師・准看護師に関連した医療事故やヒヤリ・ハット」を1年間の個別のテーマとして取り上げ,事例を1年間にわたって継続的に収集・分析した結果を平成26年年報(以下,本年報)1)で報告している。本年報によると,職種経験1年未満の看護師・准看護師が当事者となった医療事故では,報告件数589件中「療養上の世話」の事例が346件(58.7%)で最も多い。「療養上の世話」は,職種経験0か月より報告が多く,3か月(7月)から報告件数が増加し,職種経験6か月(10月)以降に報告件数が30〜40件台となっていることが報告されている。
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