連載 卒業前の看護実践能力育成への取り組み 愛知県立大学看護学部「看護の統合と実践」検討プロジェクト・12
─分野別演習の指導計画と実施状況─看護管理学:インシデント・アクシデント事例を用いた演習
賀沢 弥貴
1
,
藤原 奈佳子
1
,
益 加代子
1
1愛知県立大学看護学部看護管理学
pp.812-816
発行日 2015年8月25日
Published Date 2015/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200307
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はじめに
安全な医療を提供するためには,看護専門職者が習得すべき看護技術の安全性を確保するだけでなく,医療事故を回避できるシステムを継続的質改善につなげることが重要である。そのためには,看護基礎教育課程において,それぞれの分野での生活援助技術・診療援助技術とシステムとの両側面での教育が必要となる。
日本の医療事故の約60%はノンテクニカルスキルが要因となって起こっている1)。そこで,看護管理学では,生活援助技術・診療援助技術そのものに特化したリスクマネジメントを考慮した演習内容ではなく,看護ケア全般にかかわるコミュニケーション能力・チーム能力を含むノンテクニカルスキルに着目した医療安全の事例を設定した。
医療安全を理解するための知識や医療事故の主な根本原因となっているコミュニケーション・エラーなどの知識は,必修科目である看護管理学概論[3年次前期]と看護管理学方法[4年次前期]のなかで教授している。それをふまえたうえで「看護の統合と実践」の「看護管理学」においては,臨床現場で応用できるよう医療事故の主な根本原因となっているコミュニケーション・スキルの獲得と,システム・エラーを明らかにする根本原因分析手法(Root Cause Analysis,以下,RCA)を用いて医療事故を起こしにくい環境やシステムを改善することの意味を見出せる演習内容を系統立てて設定した。
本稿ではそれらを視点においたインシデント・アクシデント事例を用いた演習の取り組みについて紹介する。
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