連載 卒業前の看護実践能力育成への取り組み 愛知県立大学看護学部「看護の統合と実践」検討プロジェクト・4
「BPSDを呈する認知症高齢者との関係構築の技術」の指導案作成プロセス
松岡 広子
1
1愛知県立大学看護学部
pp.1152-1158
発行日 2014年12月25日
Published Date 2014/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200060
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はじめに
認知症高齢者が身体的治療のために急性期病院に入院することは近年増加の傾向にある。認知症高齢者にとって入院は,日常生活と大きくかけ離れた環境であり,認知機能の低下によって理解が困難な状況下での治療や処置などの行為は,不安を増幅させてBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:認知症の行動・心理症状)を誘発しかねない。急性期病院の看護師には,入院してきた認知症高齢者の不安な気持ちに寄り添い,療養環境を整えるための適切な対応技術が欠かせない。
身近に認知症高齢者の存在がない看護学生の場合は特に,認知症のさまざまな症状を理解していないと,病院の実習で認知症高齢者の予期していない言動に戸惑うことが多くある。臨地実習における認知症患者とのかかわりについての研究によれば,看護学生は実習において認知症高齢者に否定的な感情をもち1),自分の思いが先行して一方的な会話や無理をしたケアになりがちとなるが,次第に患者のペースに合わせた行動をとることができるようになっていくこと2)が報告されている。
本学では「看護の統合と実践」における卒業前の看護実践能力の確認の一つとして,入院している認知症高齢者でBPSDを呈する者に対して適切な関係構築ができる点をとりあげている。本稿では,認知症高齢者に対するコミュニケーション技術について学生が習得した看護実践能力をどのように確認していったのか,その指導案作成プロセスについて述べる。
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