特集 コミュニケーション力を育む─実習前に教員としてできること
ロールプレイングを用いたコミュニケーション教育
川野 雅資
1
,
石川 純子
1
1東京慈恵会医科大学医学部看護学科精神看護学
pp.844-849
発行日 2012年10月25日
Published Date 2012/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102209
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はじめに
精神看護学の教育で筆者らは,最新の内容を実践的に教育することをモットーにしている。精神看護の領域は,聴診器で心音や肺音を聴くなどといった医療機器で患者をアセスメントするという接近の仕方ではなく,コミュニケーション技術を活用して患者の状態や気がかりをアセスメントし,患者の課題を解決したり,もっている力をのばしたりするものである。いわば,看護師のコミュニケーション技術,そして対人関係を発展させる技術が精神看護の具体的な手段になることが多い。
看護学生の多くは,友人同士では明るく会話ができ,親密な関係を形成している。しかしながら,患者や家族と会話する力には不足を感じることがしばしばある。例えば,友達言葉では話せるが,対象者を尊重した言葉使いができない,過緊張のあまり言葉が出ない,精神障害者に接近できない,などの課題をもつ学生がいる。このような学生が課題を解決するには,実習までに可能な限り実践力を身につけることが必要だと考えている。そのための教授方法としてロールプレイングが効果的である。本稿では,3年次の精神看護方法論においてロールプレイングを用いて実施しているコミュニケーション技術教育を紹介する。
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