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はじめに
医療安全の必要性はいうに及ばず,日本全国の病院で,さまざまな研修プログラムが展開されていることと思う。筆者が看護の基礎教育を受けた時代は,誤薬予防のために薬剤のチェックは3度行なうということを学習したくらいである。当時教育してくださった教員には,「それだけではないでしょう」とお叱りを受けるかもしれないが,新人であった筆者の頭に残っているのは,「3度の確認」という誤薬防止のルールと,ベッドサイドを離れるときには「ベッドのストッパーとナースコールの位置を確認すること」である。今思い返せば,低温やけどを予防するための湯たんぽの使い方や,褥創予防のための体位変換の仕方など,基礎教育の中に医療安全的要素は至るところに散りばめられていたのだといえる。しかし,認識していないということは,医療安全に関して,系統だった学習をしてこなかったということになるだろうか。
そうした新卒看護師たちが,4月からひとりの看護職員として患者の前に立つとき,何が求められるのだろう。当院は千葉県船橋市北部に位置する地域中核病院として機能することを期待されている,一般病床292床を有する病院である。新卒看護師の採用は,毎年10名から13名と少人数ではあるが,それだけに大切に育てたいと常々考えている。開院してまだ歴史は浅く,今年で新卒看護師を迎えるのが5回目になるが,4月1日から5日間にわたって行なわれる新人オリエンテーションでは,毎年先輩看護師たちが,各委員会の活動を通して,知恵を絞った学習の場を提供している。
今年は,その新人オリエンテーションの医療安全に関して,看護部内の安全管理委員会が中心となり,ロールプレイングを取り入れたプレゼンテーションを展開した。「医療事故予防対策に参加しよう」をテーマとした私たちの初の試みであった新人オリエンテーションは,おおむね好評であった。その概要を報告したい。
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