特集 コミュニケーション力を育む─実習前に教員としてできること
学生がコミュニケーション能力を育成できる環境をつくる
菱沼 典子
1
1聖路加看護大学
pp.838-843
発行日 2012年10月25日
Published Date 2012/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102208
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教師はコミュニケーションがうまい?
説明したのにわかっていなかった,プリントに書いておいたのにやってこなかった,話したのに覚えていなかった等々,教師は「私は伝えたのに,学生はわかっていない,できない」と嘆いている。だが,通じていないのは,それがよいコミュニケーションではなかったからだ。たいていの場合,非は学生ではなく,教師にあると思ったほうがよさそうである。
最近の学生はコミュニケーションが下手だ,メールのやり取りはするが会話をしない等,さまざまな批判がある。確かに電車で乗り合わせた人,道を歩いている人に声をかけるのは,ためらうという看護学生は多い1,2)。しかしこれは看護学生ばかりでなく,一般の大学生にも,新人看護師にも言えることで,実はすでに社会人になっていても当てはまる。今日のIT環境下においては,メール等でやりとりするのも,顔を合わせて話をするのも,ともに重要なコミュニケーション手段である。いずれの場合もコミュニケーションによってもたらされることは,互いが了解し,ものごとが先に進むことだ。コミュニケーションがうまくいかないと,了解がなされないまま,それぞれの解釈でバラバラにことが進み,結局は生産性は悪く,関わる人々は不愉快になる。
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