特集 医療者と患者のパートナーシップ
看護基礎教育における当事者参加の授業―全学的に取り組んで
森川 三郎
1
,
仲沢 富枝
1
,
伏見 正江
1
,
望月 勲
1
,
林 滋子
1
1山梨県立看護大学短期大学部
pp.466-470
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100296
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はじめに
本学では数年前から,精神障害をもつ人,妊婦,がん体験者を講師とする授業を行い,また学園祭では身体障害をもつ人や長期透析を受けている人たちによる講演会を開催してきた。これら看護の対象となる人たち(以下,当事者)の話を聞くことで,学生は,当事者のありのままの姿を実感し,また当事者に勇気づけられ,看護の学修へと強く動機付けられることがわかってきた。
そこで,本学の教育理念である「生命および人間の尊厳に対する豊かな感性と,対象についての深い理解」を教育方法の基本に置き,学生が当事者の声に耳を傾けられるように「当事者参加授業」の開発に全学で取り組んだ。2004年度からは卒業までの学修進度を考慮して,全学科目にわたる体系的な当事者参加授業を実施した。この取り組みは,「看護基礎教育における当事者参加授業の実施――主体的・創造的な学習の促進をめざす地域と連携した教育方法の工夫――」として,2005年度の文部科学省「特色ある大学教育支援プログラム」(特色GP)に選定され,現在,評価を含めてさらに検討し実施しているところである。
本稿では,本学におけるこの当事者参加授業のねらいと実施状況,教育上の効果について述べる。
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