看護教育研究
精神看護学における当事者参加型の授業効果
藤井 博英
1
,
坂江 千寿子
2
,
清水 健史
3
,
加藤 智嘉子
4
1青森県立保健大学健康科学部看護学科
2茨城キリスト教大学看護学部看護学科
3青森県立保健大学健康科学部看護学科
4元青森県立保健大学看護学科
pp.348-352
発行日 2007年4月25日
Published Date 2007/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100682
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
目的
授業において学習者の理解を助けるために用いる教材の質は,教育効果に大きく影響する。最近では,テキストなどの文字媒体以外に,人と同じような動きをする高機能患者モデル(Baby SIM)注1)や模擬患者(SP : simulated patient)が教育効果をあげるために導入されている。しかし,精神看護学の授業においては,患者の精神内界や精神症状を説明することは,内容の性質上困難であり,精神疾患患者に必要な看護の知識や技術を教授するための教材が少ないのが現状である。そのため,講義内容を補足する目的でVTRを用いたり1),自作のVTRを作成する2)などさまざまな工夫がされている。さらに,実際に実習病棟を見学して学びを深める試み3)や,当事者の体験談を聞くという授業形態も模索されてきている。
筆者らは,多くの学生が精神看護学実習の後に,精神障害者に対するイメージを変化させていることや,精神看護に対して肯定的な意見を述べるようになることを経験してきた。そして,患者理解には精神障害者との直接的な関わりあいによる相互理解が重要だと考えるようになった。そこで,授業においても患者理解の効果を得ることを目的に,精神障害者自身(以下,当事者)の体験を直接学生が聞くという当事者参加型の授業を計画した。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.