患者とともに
病院におけるコミュニケーション
小林 富美栄
1
1東京女子医大付属高等看護学校
pp.86-87
発行日 1965年7月1日
Published Date 1965/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913663
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患者の治療や看護は全く病院の職員間,職員と患者,家族,および患者の医療に関係のある院外のいろいろな専門,非専門家とのコミュニケーションに依存していることは今更いうまでもない。患者,特に入院患者については,常時,継続的に世話をしている看護部門としては患者のために直接に役立つ重要な情報を得る機会は,病院のいかなる他の職種よりも多い。それらの情報が患者のためによりよく活用されるようなコミュニケーション体系を病院はもたなければならない。前号で患者が送り出しているメッセージとして,言葉に現われないもの,患者自身が気がついていないもので専門的な知識によって受けとめられる身体的な変化などの状況,情緒的反応などが言葉であらわしているものと同じく,いや,洞察しなければ受けとめられないものであるだけにより重要な側面として私どもは,客観的な,しかも鋭い受けとめ方が必要であることを書いた。ユニットの看護関係者が受けとめたメッセージには,重要さの程度がいろいろあり,また,その情報をどう役立たせるかは,看護関係者がもっている能力によって非常に違っていることは事実である。同じメッセージでも,准看護婦の能力で受けとめる場合と,看護婦がするのとでは異なり,経験をもち,かつ,すぐれた能力のある看護婦と,ただ,慢然と割り当てられた作業を機械的に果してゆく程度の看護婦とでも異なる。
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