患者とともに
病院社会の文化
小林 富美栄
1
1東京女子医大付属高等看護学校
pp.64-65
発行日 1965年8月1日
Published Date 1965/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917419
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日本人の病院生活と家庭生活様式
実習病院DMHで患者さんたちは,外国人である私に日本の病院についていろいろと質問をした。「日本で貴女たちはどういう服装をして看護するのか」「日本でも患者はベットの上にねるのか」「病院の設備はここと同じようなものがあるか」「ここで勉強しても帰ってから役立つのか」「患者に清拭をするのか」など見知らぬ国に対する好奇心を身近かな場面から発想したものであった。このような質問をうけてみると,私は日本の近代病院が形の上でアメリカとそれほど違いがないことをあらためて認識すると同時に,日本人とアメリカ人との入院生活と,家庭生活様式とについて考えさせられた。アメリカ人にとつて病院生活は,日本式にいえばどちらもいわゆる「洋式」であり,日本人にとつて入院は日本式生活様式から洋式へきりかえる必要が生ずる。
病院に滞在している患者にとって,病院の生活は今までの家庭における日常生活とは型が非常に変わってくる。つまり,患者はただ,病気の治療をうけるということだけでなく,寝起きの形式が違つてくるのであるから,その形式に適応しなければならない。病院では最大限に患者の安全を守り,最良の医療サービスをするためと,そのことが実施できるように病院の秩序を維持し運営管理するためのいろいろな規則が設けられている。
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