病院の窓
病院機能とコミュニケーション
堀内 光
1
1済生会中央病院
pp.17
発行日 1977年7月1日
Published Date 1977/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206266
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科学は常に分化の方向を辿る.医学もまたこの方向を辿り,現在病院には多くの診療科目が並んでいる.同じ診療科目の中でもあるいは臓器別,あるいは疾患別に専門を分けている.医学が発達した1つの姿と考えられている.確かに昔は治らなかった疾病が現在は治るようになり,多くの人がその恩恵に浴している.一方医学の発達とともに病院の機構も次第に複雑さを増してきた.病院ほど多種類の専門職を擁する企業はないと思われるほどである.高度に発達した医学を医療の場に適用するには,それに応ずる組織,体制が必要であり,それに応えた組織医療の姿である.
しかしここで問題となるのは専門職のもつ欠点である.専門バカという表現もあるように,自分の専門以外のことに関心が少なく,専門以外のことを知ろうとせず,理解のないものが増えている.人間社会において,ある狭い分野だけが他と関係なく独立して存在するということはありえない.まして患者という人間を相手とする医療の場においては,いかなる職種にあろうと医療という大きい目的を達するために,それぞれ責任を分担しているのである.組織医療は組織全体が医療の目的に動いてはじめて達成される.そのためには専門職である各人が組織の中でいかなる位置にあるか,いかなる任務をもっているかを自覚しなければならない.
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