連載 病院のことばとコミュニケーション――ポライトネス・ストラテジーの視点から・2
[コラム]病院利用者が考える医療コミュニケーション
内田スミス あゆみ
pp.125
発行日 2009年2月10日
Published Date 2009/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101414
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患者心理を理解すること
私は医療者や医学生に対し,「患者の心理を理解するにはどうすべきか」というテーマで研修をさせていただくことがあります。私がこれまで出会った学生さんは「患者さんを傷つけない言葉を教えてください」とか,「確実に相手を癒すことができる言葉はないでしょうか」という質問を多く寄せてくれました。よりよい医療者を目指しているからこそ出てくる質問ですが,彼らが望む魔法のフレーズは,残念ながら存在しないと考えています。
医療コミュニケーションが難しいのは,患者さんに対する言葉がけにおいて「正解が1つではない」からだと思います。患者さん1人ひとりが抱える社会背景や価値観が異なるなか,多くの不安をもつ患者さんに対して,喜ばれる医療者の言葉がけは1つではないのです。
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