シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Application編
遺伝性ムコ多糖症
折居 忠夫
1
,
戸松 俊治
2
,
福田 誠司
2
,
祐川 和子
2
Tadao ORII
1
,
Shunji TOMATSU
2
,
Seiji FUKUDA
2
,
Kazuko SUKEKAWA
2
1中部女子短期大学
2岐阜大学医学部小児科
キーワード:
ムコ多糖症
,
遺伝子解析
,
遺伝的異質性
Keyword:
ムコ多糖症
,
遺伝子解析
,
遺伝的異質性
pp.449-454
発行日 1997年4月15日
Published Date 1997/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903295
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はじめに
ムコ多糖症(mucopolysaccharidosis;MPS)はムコ多糖代謝異常症,ムコ多糖蓄積症とも言い,酸性ムコ多糖(ムコ多糖)を水解するリソソーム由来の4つのグリコシダーゼと5つのスルファターゼ,それと水解酵素でない1つのトランスフェラーゼ活性の低下症である.全身組織の細胞内リソソームに不完全に分解されたデルマタン硫酸(DS),ヘパラン硫酸(HS),ケラタン硫酸(KS),コンドロイチン硫酸(CS)が蓄積する.蓄積するムコ多糖の種類,程度,部位によってさまざまの徴候を呈する.臨床的には特異な顔貌,ごつい体つき,多毛症,軟骨内骨化障害,関節の運動制限,肝脾腫,心障害,角膜混濁,精神運動発達遅滞などの症候を有し,ムコ多糖尿を伴うことを特徴とする.現在,表1のように分類されている.
本稿では遺伝子レベルでの病因が解明されているⅠ,Ⅱ,Ⅲ A,B,D,Ⅳ,ⅥおよびⅦ型のうち,Ⅰ,Ⅱ,ⅣおよびⅧ型を中心に概説したい.
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