Japanese
English
講座 リハビリテーション医のための人類遺伝学―遺伝性骨・軟部系統疾患―
4.ムコ多糖代謝異常症の遺伝
Genetics of Mucopolysaccharidoses.
折居 忠夫
1
Tadao Orii
1
1岐阜大学医学部小児科
1Department of Pediatrics, School of Medicine, Gifu University.
キーワード:
ムコ多糖代謝異常症
,
遺伝
,
保因者診断
Keyword:
ムコ多糖代謝異常症
,
遺伝
,
保因者診断
pp.315-321
発行日 1984年4月10日
Published Date 1984/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105152
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
遺伝性ムコ多糖代謝異常症(MPS症と略)は現在少なくとも10種類の酵素の欠損症が知られており,かつ1つの酵素欠損症にも複雑なgenetic heterogeneityが知られてきている.
有効な治療法のない現在においては,新生児,乳児期早期に正確な酵素診断を行い,弟妹への不幸を羊水診断により未然に防ぐことが重要である.さらに保因者診断も遺伝相談,発症予防に大切であるが,常染色体劣性の遺伝形式をとる本症の多くの疾患ではなお信頼性に問題を残している.しかし伴性劣性の遺伝形式をとるMPS Ⅱ(Hunter症候群)では毛根の使用により,ほぼ満足すべき成績が得られている.そこで本稿ではMPS症の定義,臨床症状と診断,MPS症の遺伝およびMPS Ⅱ(Hunter症候群)の保因者診断につき述べる.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.