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あとがき
涌井 昌俊
pp.1234
発行日 2021年11月15日
Published Date 2021/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202878
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ここ数年,メディアで急速に取り上げられ,1日のなかで1度はどこかで見聞するようなキーワード“SDGs”は“Sustainable Development Goals”の略であり,訳せば“持続可能な開発目標”となります.これは17の世界的目標,169の達成基準,232の指標から構成される国際的な開発目標です.2015年に終了したミレニアム開発(Millennium Development Goals:MDGs)の後継として,同年の9月の国連総会で採択された2030年までの具体的指針です.期限まですでに10年を切っています.激動する国際社会と激変する地球環境を前に待ったなしという危機意識が全人類に求められているということになります.
SDGsは21世紀だからこそ誕生した指針というよりも,人類の歴史のなかで残し続けたままの種々の宿題に取り組む覚悟の具体化と読み取ることができます.文明の影の部分ともいえる貧富の格差,人種・民族の偏見・差別,性差別,これらがもたらす社会の分断,そして気候変動による自然破壊.先鋭的に各論を極めることで到来するエポックメーキングに委ねるという前世紀的な臨み方ではもはや太刀打ちできない時代に突入したという論調が,「Nature」などの科学誌でも近年展開されています.そこで期待と注目を集めているのが学際的アプローチの拡充です.異なる分野領域の人と物がつながることで開発とその後の持続を達成するというのはSDGsと根が通じているといえます.IoT(internet of things)はまさにその具現の好例かもしれません.
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