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あとがき
涌井 昌俊
pp.712
発行日 2021年6月15日
Published Date 2021/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202762
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本稿を執筆している時点での最大のトピックは,約2カ月半続いた首都圏1都3県の2回目の緊急事態宣言の解除です.しかし,まだ楽観視はできず,解除の直前にオリンピック・パラリンピックの海外観客の受け入れが正式に断念されました.株価が変動するほど,ある意味過剰なまでに期待されているワクチンも,日本での供給体制はまだ十分ではありません.本号が発行される5月のCOVID-19をめぐる情勢を先見できない今,“検査による社会介入”について少し考えてみたいと思います.
国内でパンデミックが始まった昨年の春先は,PCR検査については抑制的な方針が採られていました.重症以外にPCR検査を積極的に行うことに対して慎重に(あえていえば否定的に)臨むべきであるとされていたのです.他国と比べて機器や検査要員の確保が遅れていた当時のことを思い返せば,これはやむを得なかったかもしれません.ただ,重症以外にPCR検査の適応がないとするのは,医学的理由からなのか,医療周辺の事情のためなのか,これらの違いが曖昧なままにもろもろが発信され,大なり小なり混乱もあったと記憶しています.
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