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特集 ファシリテーション・テクニック(1)
ファシリテーション・テクニックの生理学的基礎
Neurophysiological Basis of Facilitation Techniques
中村 隆一
1
Ryuichi NAKAMURA
1
1東京都神経科学総合研究所
1Tokyo Metropolitan Institute for Neurosciences.
pp.295-300
発行日 1979年5月15日
Published Date 1979/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101898
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はじめに
いろいろな原因によって運動障害をもった患者・障害者の治療,リハビリテーションにおいて,理学療法の果たす役割は大きい.理学療法は,本来,疾病の治療手段であり,その基本概念は,
①外受容器と内受容器,すなわち生体と環境との接点に操作を加える.
②生体の組織に損傷を与えない範囲で,十分な量の物理的刺激を与える.
③生体に生理的な反応を引き起こさせる.
であり,薬物療法,手術療法,心理療法などと並ぶものである.ファシリテーション・テクニック,あるいは神経生理学的アプローチと呼ばれている理学療法の手技は,運動療法に属するもので,内・外受容器,すなわち皮膚や固有感覚器に対して刺激を加え,運動機能の回復を試みるものである.
神経生理学的アプローチには,neurodevelopmental approach(Bobath),neurophysiological approach(Brunnstrom),neuromuscular reflex therapy(Fay),proprioceptive neuromuscular facilitation(Kabat),sensory-motor approach(Rood)など,種々の手技があるが,それらの共通点として,
①中枢神経系の活動の促通や抑制のために,感覚入力に操作を加える.
②個々の筋や関節の運動よりも,全身あるいは一肢全体の協調性のある運動(パターン運動)の回復・治療に重点をおく.
③神経発達的概念を応用している.
④心理学,とくに条件づけ,反復,強化,応答の汎化などの学習の理論を利用する.
があげられている.
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