特集 ファシリテーション・テクニック
ファシリテーション・テクニック雑感
服部 一郎
1
Ichiro hattori
1
1長尾病院
1Nagano Hospital.
キーワード:
片麻痺上肢
,
回復
,
ファシリテーション・テクニック
Keyword:
片麻痺上肢
,
回復
,
ファシリテーション・テクニック
pp.104
発行日 1975年2月10日
Published Date 1975/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103265
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- 文献概要
筆者やチームのセラピストがファシリテーション・テクニック(以下FT)を意識して積極的に片麻痺に利用しだしたのは昭和38年で,最初はKabat,次いでRood Bobath,Rrunnstrom,最後にVoss・Knottの方法を文献と首っぴきでやってみた.また技法の一部はドロシー大森さんから習った.しかし創始者の講習会に出たり,すべての文献に眼を通したわけではなく,1つの体系のみを深く永くやってみたわけでもない.要するに以上の各体系の中から効果的と思うものを勝手にとりあげて,在来のプログラムの上につけ加え,選抜FTと在来のプログラムとの混成プログラムが何となくおり合ったところで(昭和42年頃),片麻痺上肢にどう効くかと胸を躍らせて治療を開始したのである.したがって昭和38年を境として,その前はFTが加わらない在来のプログラムで,その後はFTを加えたプログラムで片麻痺を治療したことになる.このことは必然的に両者の比較となり,昭和45年頃には次の結論に達した.
つまり片麻痺上肢に関しては,FTを加えたプログラムは確かに効果があり,回復速度を早め,治癒限界に達する期間を若干短縮する.しかし用廃手を補助手に,補助手を実用手にという風に治癒限界を一段階あげるほどの著名な効果はないようだ.これは昭和47年に上記の2群を推計学的に処理して確認した.そして当然のことだが,FTが効果的な症例は不全麻痺程度の新鮮例で,自然回復の時期にあるものに限られ,重症例,陳旧例,またいわゆる弛緩型麻痺には在来のプログラム同様無効であった.
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