Japanese
English
増大特集 リハビリテーション医学2007―最近10年の動向とエビデンス
リハビリテーション・アプローチ
ファシリテーション・テクニック
Facilitation technique.
川平 和美
1
,
下堂薗 恵
1
Kazumi Kawahira
1
,
Megumi Shimodozono
1
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科先進治療科学専攻運動機能修復学講座機能再建医学
1Rehabilitation and Physical Medicine, Advanced Therapeutics, Kagoshima University Graduate School of Medical and Dental Sciences
キーワード:
脳卒中
,
片麻痺
,
促通反復療法
,
神経筋促通法
Keyword:
脳卒中
,
片麻痺
,
促通反復療法
,
神経筋促通法
pp.1199-1204
発行日 2007年10月10日
Published Date 2007/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101086
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はじめに
脳卒中医療のなかで,急性期のstroke unitが死亡率や要介助者を減らし,効果的であることについては共通の認識ができているが,とくに優れた効果が証明された運動療法,作業療法,言語療法はない1).急性期から回復期において機能回復を促進することが期待された促通手技(ファシリテーションテクニック;facilitation technique)は神経筋促通法と称され,関節可動域訓練や筋力増強を主な治療手技としていた1940年代までの通常の運動療法に対して,1950年代から感覚入力の操作を介して中枢神経活動を促通あるいは抑制して,患者の筋トーンや運動パターンをより正常化することによって中枢性麻痺自体を回復させる治療手技として提唱された.しかし,これらの神経筋促通法もその有効性を証明されていない2,3).
脳科学の進歩によって,脳に可塑性があり,その発現は使用頻度依存的であること4),神経路の形成や強化が興奮伝導によることが明らかにされていることに加えて,再生医療の発展による神経細胞移植に備えて,効率よく目標の機能を再獲得させる「真の神経筋促通法」を確立することは,リハビリテーション医療の緊急の課題である.
ここでは,麻痺自体に対する神経筋促通法の治療成績について,Bobath法5)を中心にいくつかのメタアナリシスなどの結果と,近年新たに提唱された神経筋促通法と今後の神経筋促通法の開発に影響を与えるであろう運動療法についても紹介し,今後の「真の神経筋促通法」の確立に寄与したい.
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