脳血管障害 True or False
ファシリテーションテクニックは有効か?
齋藤 宏
1
1東京都立保健科学大学
pp.595-597
発行日 2000年6月10日
Published Date 2000/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109257
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はじめに
中枢神経疾患による運動障害の機能回復促進のために1950年頃から欧米で種々の治療体系が編み出された.わが国には1960年になってそれらが紹介され,1973年の第10回日本リハビリテーション医学会学術集会で「ファシリテーションテクニック」と題するセミナーが開かれた1,2).
治療手技にはBobathらによるneurodevelopmental approach,Kabatらのproprioceptive neuromuscular facilitation,Roodのsensorimotor approach,Brunnstromのneurophysiological approachなど,生理学的理論に基づく方法が考え出された.わが国ではこれらを総称してファシリテーションテクニックとしているが,内容は必ずしも促通ばかりではなく,抑制の要素を含んでいる.これらの方法は従来の関節可動域訓練,他動運動,自動介助運動,自動運動,抵抗運動あるいは装具や器機を用いたconventionalな手法の限界に対応するものとして開発された.
成人脳卒中片麻痺の治療にはKabat,BobathおよびBrunnstromの方法がよく用いられている.広く応用されるようになった当初から,その効用を認めると同時に多くの疑問点も上げられていた3,4).最近では医療経済効率の面からも種々の批判にさらされている5,6).
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