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あとがき
佐々木
pp.964
発行日 1978年10月20日
Published Date 1978/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208821
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戦後のわが国の卒後研修の歴史を振り返つてみると,インターンは結局わが国の医学教育の中に制度として定着することがなかつた。またレジデントもきざしはあつたけれども,殆んど無視されてしまつた。本誌を始めとして種々の医学雑誌にreportageされている各国のpostgraduateの研修にはかなりsystem化されたものがあると思われる。しかしわが国でのpostgraduate教育は混沌としているのが現状であろう。各種の講習会開催の際には,多数の方が参集され,かなりの熱気も感じられるが,それが卒後教育,研修の一環として組織化され,制度化されるまでには,なお多くの時間が必要であろう。講習会や研修会もまだ暗中模索的で医療の中に確実な地位を占めるまでには至つていない。
インターンやレジデントがわが国で拒絶反応を受けながらも,一方では新しい医療技術や医学の発展に呼応して研修会開催などの要望は意外と根強い。またそうした催しものが盛況だということは,わが国の医療制度や社会環境に適応した卒後研修あるいは生涯教育の場が要求されているものと考えてよい。これをsystem化し,制度化するには性急であつてはならないが,system化の方向で多くの試みがあり,また試行錯誤も許されてよいと思う。
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