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論文の「原著」と「症例報告」ではどのように違うのでしょうか.本誌の投稿規定のごとく,「原著」には「症例報告」よりも多くの紙面を割当てられています.投稿される論文の中に,1例報告で「原著」としての掲載希望がときどきあります.そのほとんどは編集委員会で査読して「症例報告」の形式に縮めていただいています.では,2,3例の報告でしたら「原著」でしょうか.やはり,そうではないと思います.もちろん「症例報告」も何か報告すべき新しい点や意義があって論文とするわけですが,それらが内容に示されれば十分なわけです.一方,原著論文(original article)は,十分な議論を要する珍しい症例を報告する,複数例で新たな疾患概念を提唱する,多数例をまとめて病態を解析する,あるいは研究的な内容を報告するなどのための形式であり,記述すべき内容や考案も長さが必要で,それゆえに多くの紙面の割当があるわけです.また,研究的内容であれば,材料・方法も詳しく記述する必要があります.編集室からお返しして「症例報告」に書き換えていただく「原著」希望論文は,単に冗長や重複記述でだらだらと長いもの,その疾患についての従来の教科書的事柄を並べたてるもの,図や表を不要に多数にしているものなど,いたずらに長くなっているものが多いのです.皮膚科専門医制度の影響があると思いますが,本誌の論文の内訳をみますと,旧来より「症例報告」がきわめて多くなって,「原著」論文は激減しています.真のoriginal articleや研究論文などは英文誌にどんどん投稿されている状況も影響しているでしょう.そのような中で,本誌としては,「症例報告」論文として新しい点があり,有意義な内容で,症例や組織の写真も良好なものを採用していますし,考案内容も十分に審査していますので,学術的にとても有意義なものになっていると考えています.投稿者には,「原著」は単に長いのではなく,それなりの内容を要すること,「症例報告」は症例の“セールスポイント”を明瞭にして簡潔に考案すべきことなどを理解して,論文作成をお願いします.
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