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『臨床皮膚科』はもちろん日本語による国内誌であり,冊子体(ハードコピー)を発行して読者に購読してもらい,著者からは投稿料を取ることなく,世に出している.読者の中にはこれは当たり前のことだと思われる方もかなりいらっしゃるだろう.しかし,ハードコピーと購読料という2つのキーワードを堅持して雑誌を刊行するのは,国際的には崩れてきている.国際誌(すべてが一流雑誌という訳ではない)の中には,electric publication(e-pub)と言って電子媒体のみで刊行する雑誌も猛烈な勢いで増えており,これをonline journalと呼ぶ.Online journalの中には読者から料金を取らずに自由に閲覧できる雑誌があり,この出版態様をopen accessと呼称する.すなわちe-pubを導入したonline journalは,open accessとなる宿命を負っていると言っていい.いくら何らかの制限を設けたとしても,オンライン化したものはあらゆる手を使ってただで見られる運命にある.したがってオンライン化した論文は,読者ではなく,著者が刊行費を払うことになる.その代わり著者は版権を得ることになり,自由に自分の論文をネットで流したり,レポジトリに加えたり,他の研究者に謹呈したりすることができる.通常の長さの英文論文ならe-pubとして発刊するために,25〜30万円かかることになり,これがonline journalへの投稿料に相当している.昨今,症例報告を載せるonline journalが増えてきており,症例報告に約20万円かかるのは吃驚するが,こうした事情による.日本語の雑誌もオンライン化されるかは読者次第であるが,寝ながら『臨床皮膚科』を広げて読む読者層もいることは間違いなく,寝ながら電子機器の画面を見るより絵になっている.
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