Japanese
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特集 神経疾患と分子遺伝学
ハンチントン病の分子遺伝学
Molecular genetic analysis of Huntington's disease.
金澤 一郎
1
Ichiro KANAZAWA
1
1筑波大学臨床医学系神経内科
1Department of Neurology, Institute of Clinical Medicine, University of Tsukuba
pp.583-587
発行日 1989年8月10日
Published Date 1989/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431906312
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I.はじめに
ハンチントン病は常染色体性優性遺伝する神経変性疾患であり,その浸透率がほぼ100%であること,突然変異が著しく少ないこと,など優性遺伝性疾患のなかでも特異的な性質をもつ疾患として注目されてきた。突然変異が少ないにもかかわらず,欧米では100万人当り70〜80人の頻度があり,社会問題にもなるほどポピュラーな疾患である。したがって,中世ヨーロッパのどこかに発した異常遺伝子が現在に至るまで,変わることなくそのままの形で伝わってきたと考えることが可能である8)。このようなハンチントン病の異常遺伝子については,1983年米国のGusellaらによりその座位が第4染色体であることが明らかになって以来6),その異常遺伝子情報を求めて多くの努力がなされてきた。筆者は本誌29巻3号(1985年6月号)にそれまでの研究の発展について述べたことがある10)ので,本小文ではその後の進展を中心に述べてみることにする。ただ,現時点では本症の異常遺伝子の実態については,非常に近いところまで迫ってはいるものの,まだ最終的な結論が出ていないことをあらかじめお断りしておく。
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