病気のはなし
ハンチントン病
吉田 邦広
1
1信州大学医学部神経難病学講座分子遺伝学部門
pp.6-10
発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103020
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サマリー
ハンチントン病はhuntingtin遺伝子(HTT)の変異に起因する常染色体優性遺伝病である.患者ではHTTエクソン1内のCAGリピート数の過剰伸長がみられる.臨床的には舞踏病,精神症状(抑うつ,易怒性,無頓着・無関心,など),認知症を主症状とする.発症年齢や臨床経過はCAGリピート数に大きく依存し,一般にCAGリピート数が長い患者ほど若年発症で臨床経過も早い(表現促進現象).病変の主座は尾状核,被殻であり,頭部画像では尾状核の萎縮に伴う側脳室前角の開大がみられる.病状は進行性の経過をとり,発症後の平均余命は15~18年とされる.現時点での治療は舞踏病や精神症状に対する対症療法にとどまる.
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