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はじめに
老齢人口の増加とともに,老人性痴呆症患者数が増加している。老人性痴呆症は大別して,脳血管性痴呆,アルツハイマー病(正確にはアルツハイマー型老人性痴呆症と初老期発症のアルツハイマー病とに区別しなければならないが,本稿では両者を併せてアルツハイマー病とする)およびその混合型にその多くが分類できる。脳血管性痴呆は原因も治療方法もある程度わかってきており,今後はアルツハイマー病が相対的に増加すると考えられている。アルツハイマー病患者は,日本では65歳以上の老人の約2%,20万人程度といわれており,アメリカでは約200万人,全世界では約400万人といわれている。これら患者の多くは散発性(sporadic)であるが,5〜20%は遺伝性すなわち家族性アルツハイマー病(以下FADと略す)である。
アルツハイマー病の原因や治療方法については,まだよくわかっていないというのが現状である。アルツハイマー病脳の生化学的,病理学的変化としては,大脳の萎縮のほかに(1)アセチルコリンなどの神経伝達物質系の障害(合成酵素の活性低下やレセプターの変化など)。
Alzheimer's disease (AD) is a progressive neurodegenerative disorder of the aged and characterized by cerebral deposits of amyloid β protein (βAP) and Alzheimer neurofibrillary tangles (ANT). βAP, comprising about 40 amino acids, is deposited as senile plaque core and vascular amyloid.
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