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あとがき
酒井 邦嘉
pp.1314
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416201685
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昨年秋にゴッホの足跡を訪ねてフランスを旅行した。パリのオルセー美術館でゴッホの作品群を鑑賞した後,《ひまわり》で有名な南仏アルル,そして《糸杉》で知られるサン=レミ=ド=プロヴァンスへ。再びパリに戻り,ゴッホ終焉の地,オヴェール=シュル=オワーズを訪れた。いまから130年ほど前,ゴッホは33〜37歳という晩年にこれらの地に移り住んだのだった。
ゴッホが絵を描き続けたのは10年ほどだが,作品は2,000点を超えると言う。その創作活動の前半はオランダとベルギーで,後半はフランスで生活したのだが,フランス移住が転機となって,色彩に満ち溢れる絵を描くようになった。ゴッホの作品を丹念に観ていくと,大胆な色使いや力強い筆致だけでなく,極めて緻密で繊細な描写に目を奪われる。ゴッホは同時に膨大な素描を残しており,油彩画とまったく同じ構図のものもあって,その確かな観察眼と技巧を確認することができる。
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