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あとがき
酒井 邦嘉
pp.1302
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416201936
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オンライン中継に必要なWebカメラとして,動画機能のついたミラーレス一眼カメラが広く使われるようになった。ミラーレスは一眼レフより小型なのに十分高画質であり,豊富な交換レンズによる画角調整や,レンズの絞りによる背景ぼかしが手軽にコントロールできる。ミニ三脚で机上にカメラを置く場合,焦点距離(ライカ判換算)が35mmの広角レンズを使えば,絞りが2.8程度で効果的な映像が得られる。ちなみに筆者は,「SIGMA fp」とライカの「Elmarit-R」(宮本製作所のマウントアダプターを併用)を使っている。
カメラのレンズ設計では,さまざまな収差をいかに抑えるかが難題だった。色収差の軽減には特殊ガラスを用いた「アポクロマートレンズ」,球面収差の除去には「非球面レンズ」,被写体距離による収差の変化にはレンズ群の相対位置を変える「フローティング・フォーカス機構」という技術革新があった。いまや,この3つをすべて備えたレンズも増えている。ただし,明るいレンズは重く大型になってしまい,焦点距離が50mmの標準レンズで1kg近いものも珍しくない。それでは携行性が悪くスナップ写真などに向かないから,小型化の工夫も同時に必要となる。さらに「レンズの味」を追求すると,焦点の合っていない背景の美しさも大切であり,「ボケ」という写真用語は既に世界共通語(bokeh)となっている。
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