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あとがき
酒井 邦嘉
pp.1548
発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416101681
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日照時間が短くなると,部屋の照明を使う時間が増える。筆者は昨年引っ越しをしたため,家のすべての照明を一から見直す機会を得た。身近にある照明だが,よく考えてみると盲点がいろいろあることがわかってきた。
欧米の住居やホテルでは,リビングルームの天井に照明がついていないのがむしろ普通で,フロアランプとデスクランプが主たる照明である。それに,たいていは白熱電球が使われる。一方,日本では一般家庭用の白熱電球の生産が既に中止され,オフィスはもちろん家庭でも,蛍光灯の使用率が極めて高い。雰囲気を重視して明るさを抑えた飲食店などがある一方,蛍光灯を過剰に使用した大型店舗が目に付く。省エネで長寿命のLED電球も普及してきたが,白熱電球に比べると演色性(「電球色」であっても)や配光性に劣ることは,あまり知られていない。また,白熱灯なら部屋の広さから必要なワット数が割り出せるが,LED電球は白熱電球との換算が曖昧で,実際に取り付けてみないとわからない。近年の照明の変化には電力消費を抑えるという切実な事情があるのも確かだが,なぜ海外と日本で照明の使い方にこれほどの差があるのだろうか。
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