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あとがき
下畑 享良
pp.834
発行日 2019年7月1日
Published Date 2019/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416201360
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初めて本誌のあとがきを執筆している。若い頃,先輩医師に「『神経研究の進歩』に総説を書くことはみんなの目標である」と教わったことがある。また自身で初めて総説を執筆したときにはクオリティの高い論文を書きたいと思った。『BRAIN and NERVE』誌はこれからもそのような目標になる医学誌であるべきだと思う。編集委員としてもしっかり関わっていきたい。
さてこのあとがきを,第71回米国神経学会年次総会開催中のフィラデルフィアで執筆している。本大会で行われたPlenary Sessionの1つに,2名の演者が議論を戦わせるControversies in Neurology Plenary Sessionがある。その中の1つのトピックスが「将来,人工知能(AI)は脳神経内科医に取って変わるか」というものであった。まずNoの立場から,脳神経内科学は放射線科学,病理学,皮膚科学のようなパターン認識が重要な診療科ではないこと,問診や診察の過程における人としてのつながりが重要であること,特に患者さんへの共感やいたわりの気持ちが重要だということが根拠として挙げられた。さらに患者さんに適切な方法でbad newsを告げることはAIにはできるものではないと主張された。むしろAIの役割は検査や文献情報などによる支援であり,その結果,生まれた時間的余裕を,脳神経内科医は患者さんと接する時間に充てるべきだと主張した。最後に決してわれわれがAIに取って代わられることはないと改めて述べ,大きな喝采を浴びた。
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