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あとがき
下畑 享良
pp.646
発行日 2025年5月1日
Published Date 2025/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.188160960770050646
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遺伝性神経疾患といえば,かつては原因遺伝子の種類や変異ごとの臨床的特徴を学ぶことが主な関心事であった。しかし,近年の遺伝子解析技術の進歩により,全エクソーム解析や全ゲノム解析が可能となった現在では,単に遺伝子変異を同定するだけではなく,それが本当に患者の神経症候を説明し得るのかという解釈が求められるようになっている。つまり,遺伝子診断が高度に発展したいまだからこそ,神経症候学をはじめとする臨床力が重要であることをあらためて認識すべきであろう。
本特集号「遺伝性神経疾患ハンドブック」は,こうした視点を踏まえ,遺伝性神経疾患の診療に携わる医師にとって実践的かつ有益な情報を提供することを目的としている。遺伝子変異がもたらす病態の多様性,異なる遺伝子変異が類似した臨床像を示すケース,あるいは同一遺伝子変異でも異なる臨床表現型を呈するケースなど,疾患の全体像を理解できる構成となっている。

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